テニススクールでコーチとして働いていますが、別のスポーツをしている人が硬式テニスを始めるというのはよくあります。中でも多いのは軟式テニスです。そこで、これまでの指導経験から、軟式上がりの人が硬式テニスを始めるとどんなことが有利なのか。そして、どんな壁にぶつかることが多いのか、考えてみました。
軟式上がりの人が硬式テニスを始めると有利なこと
まずは、軟式上がり(ソフトテニス経験者)がテニスを始めると有利なこと、メリットについて考えていきたいと思います。
ボールとの距離感が自然に身についている
球技の中には、「直接身体でボールを操るスポーツ」と「道具を用いてボールを操るスポーツ」があります。
前者はサッカーやバレーボール、バスケットボールなど。後者はテニス(軟式・硬式)、卓球、ゴルフなどです。
上記の何らかの球技経験があれば、ボールの弾みを予測することに長けていたり、ボールにたいする反応が良いなど、はじめて硬式テニスをやるにしてもメリットが多々あります。
しかし、本来テニスは、飛んでくるボールに対して、ラケット一本分離れたところに身体を動かす必要がありますが、前者の球技経験者は飛んでくるボールに近づきすぎることが多い。ボールに手で触れる位置に動いてしまい、ラケット一本分離れる位置に身体を動かすことに、最初に苦戦する方が多いです。
一方で、軟式テニス経験者はすでにボールとラケットの距離感が身についている人が多い!そのため、すんなりとボールを打つことができます。非常に有利といえるでしょう。
基本的なテニスのルールや戦い方が理解できている
若干の違いはあるものの、硬式テニスと軟式テニスのおおまかなルールは同じです。
また、同じ広さのコートでプレーされる軟式テニスと硬式テニス。どのように戦えばポイントが取りやすいのか?という考え方は似た部分があります。
ゲーム性という点では、他の競技経験者と比べると格段に有利と言えるでしょう。
フォアハンドストロークやフットワークは共通である
ボールに回転をかけて、「コートに収める」意識が必要となりますが、軟式テニスのフォアハンドストロークはほぼそのまま硬式テニスでも使えます。
私が教えている生徒の中でも軟式上がりの生徒が何人かいますが、みんな強烈なフォアハンドを武器にめきめきと上達していきます。
ボールのはずみや打球感、ボールの重さなどは違いがあるようですが、そこまで抵抗なくプレーすることが可能なようです。
また、フットワークについても、軟式硬式共通です。
軟式テニス経験がある方は、粘り強く走ってボールを拾う癖がついています。これまで練習してきたフットワークは、硬式テニスにおいても大きな武器になるでしょう。
軟式上がりがぶつかる「壁」とは
さて、軟式上がりの方が硬式テニスをはじめるにあたって有利な点をお伝えしてきましたが、ここからは軟式上がりの方がぶつかる「壁」について考えていきたいと思います。
硬式テニスのボール、ラケットは重い
硬式テニスと軟式テニスでは、ボールが違い、下記の通り、重さや規格がそれぞれ定められています。
☆軟式テニスのボールの重さ・・・・・・・・・・・30~31g
※1.5mの高さから落とし65~80cmバウンドするもの
☆硬式テニスのボールの重さ・・・・・・・・・・・56.7~58.5g
※高さ254cmの高さから落下させた時に134.62~147.32cmバウンドするもの
数字を見ていただけるとわかりますが、重さが2倍近く違うことがわかりますね。
ボールだけではありません。
軟式テニスに比べて硬式テニスのほうがボールが重く衝撃も大きいため、ラケットも強い衝撃に耐えられる作りになっています。重量は250~340g。フレームの見た目もしっかりしています。
軟式テニスのラケットは200~250g(重いものでは290g)が平均的と言われているため、100gの差がありますね。
身体への負担
前項でもお伝えした通り、軟式テニスと硬式テニスの大きな違いは、ボールやラケットの重さです。
硬式テニスは重いラケットとボールを使用するため、ラケットを振る、ボールを打ち返すといった基本動作にも相応の筋力や体力が必要です。
ラケットやボールが重い硬式テニスのほうが打ったときの衝撃が大きいので、軟式テニスの打ち方のままバンバン打っているとケガをする恐れがあります。
硬式テニスと軟式テニスは同じテニスでも似て非なる競技です。
軟式テニスの経験がある方も、硬式テニスを行う際は正しいフォームを身に付けてプレーすることが大切だと感じています。
軟式と硬式では、バックハンドで打つラケット面が違う
バックハンドには大きな違いがあります。
☆軟式テニスでは、手の平側の面(フォアハンドと同じ面)でバックハンドを打ちます。
☆硬式テニスでは、手の甲側の面(フォアハンドと反対の面)でバックハンドを打ちます。
また、軟式テニスのバックハンドが片手なのに対し、硬式テニスは両手(片手の人ももちろんいます)で打つことで、重たいボールでも安定して打ち返すことができます。
軟式テニスの後衛の経験者の中には、軟式テニスと同じ面で硬式テニスのバックハンドを打つケースをよく見かけます。
たしかに最初の抵抗はその方が少ないかもしれませんが、手首や肘により大きな負担がかかってしまったり、そもそもボールが打ち返しにくかったりと弊害があるので注意しましょう!
早いうちに、手の甲の面でインパクトする打ち方を覚えることをおすすめします!
まとめ
ここまで「軟式上がりが硬式テニスをはじめるメリット・デメリット」ということで、自分なりの考えを述べてきました。
メリットとしては、
ということがあげられました。
軟式テニス経験があるだけに、その違いから初めは難しいと感じることもあるかもしれませんが、今までの軟式経験が活きる場面も多いのが硬式テニスです。硬式の基本を身に付けてぜひ楽しくプレーしてほしいです。
以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。